妄想アイナメ

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藪を掻き分け、汗だくの額を右手のグローブの甲で乱暴に拭く。 蚊の猛攻にイライラが募りながらひたすら獣道を進む。 ヒグラシが喧しく鳴くと、午後の日は漸く緩くなり始めた。 そして突然目の前が開けると、頬に少しの風を感じて、水平線が目に映る。 潮の香りをいっぱいに吸い込んで、崖の上から磯を見下ろす形になった。
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