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姉ちゃん・・。
菫姉ちゃんと俺は、
10個も年が離れてた。
頭がよくて、
美人で
スポーツもできて。
姉は万能な人だったらしい。
物心ついたときには
もうすでに。
姉は俺にとって・・
遠い存在だった。
「お姉さんは、
優秀な人だったのよ。
あなたのことも
期待しているわよ。」
小学3年生の時だと思う。
そんな風に担任に言われた。
俺と姉ちゃんが同じ?
遠い存在の姉ちゃんと?
それだけで。
嬉しかった。
だから、頑張った。
いい成績を残せるように。
スポーツは苦手だったけど
お頭のほうは
できがよかったみたい。
幼稚舎、中学部、大学部・・と
エスカレーター式の、
超ブルジョア学校に通う、俺。
そう・・
俺はこう見えて。
おぼっちゃまだったりする。
父親は医者。
どっかの有名な大学の・・
名誉教授だったりする。
ゆえに。
勉強に関しては厳しかった。
普段家にいないくせに、
色々と口出してくる。
姉貴も俺も、
よく反抗しないで長い間
従ってきたな、
と感心してしまうくらい。
まぁ・・逆らう、
ということそのものを
知らなかったんだけど。
薔薇のように綺麗な姉。
欠点が何一つないような
なんでもできた、姉。
そんな
菫姉ちゃんが。
ある日、
突然帰ってこなくなった。
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