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ピピピピピ、と硬質なアラーム音で目が覚めた。 扉に寄りかかって寝てしまったせいで、体がバキバキと音を立てている。 リビングを覗いてみたが、そこにフランシスの姿はなかった。 まだ早い時間だから寝ているのかも、と思ったが、キッチンの洗い場に水滴のついた食器が数枚立てられているから、恐らくもう家を出たのだろう。 謝りそこねちまったな…と言いつつ、顔を合わせたところでまた酷いことを口にしてしまう気がして、もしかしたらこれで良かったのかも、と結論付ける。 冷蔵庫を開けたら見覚えのない食材が詰め込まれていて、少しびっくりした。 牛乳パックとプロセスチーズだけ取って閉じようとしたが、一番下にあるプラスチックケースにメモが貼ってあるのが目に入って手を止める。 癖の強い筆跡で"Dear Arthur"と書かれているのにドキリとして、急いで引き出した。 ケースの中身はベーコンや玉子、レタスにトマトなどが挟まれたサンドイッチで、メモの裏には『昼もちゃんと食べろよ!』という言葉と共に、歪んだキスマークが添えてあった。 「なんだよ…これ」 愕然とした。あいつ、まさか昨日の俺の酷い態度をなかったことにでもしてくれるつもりなのか? フランシスのきれいな笑みが浮かんで、目頭が熱くなった。
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