第1章 ウタガイ、ゴカイ

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 担任という、僅かでも自分を庇ってくれていた防護壁が無くなると、青谷を始めとする先生達の対応は杜撰(ずさん)した。  こちらの話なんか信じるつもりはなく、疑いを持って事実を否定するしか脳がないのか。ことごとく自分の話は「嘘」として処分されていく。  早くこの問題を解決するには、自分を自白させて警察に突き出し、施設送りにして停学か退学処分にする事だろう。  学校側の狼狽が目に見えているからこそ、そのはけ口を自分に見定めて、今ある精神的苦痛(ストレス)をぶつけるとは人間の傲慢さだな。  担任が言った生徒両名の話、今の状況なら理解出来そうな気がした。  周りからのはけ口であった2人は。それはもう、精神が擦り切れるくらいにストレスだらけだったに違いない。  そんな中、男の方が唯一の自身のはけ口として、同じ境遇であり性別的に劣ると判断した女子に対し、周りからされたようにストレスをぶつけた。  それに反発して暴行事件に発展、病院送りという大層な事件へと昇華したんだな。  今なら分かるよ、その男子の気持ち。  はけ口にされた者は、決して底がないゴミ箱ではないのだ。己が抱えたくない物を全員が詰め込んだら、誰であろうパンクをする。他人だから別に良いという精神だからこいつらは。  中身を吐き出す為の何かが欲しくなった。破壊衝動、と言えるのかはしれないけれど、窓くらい叩き割りたい気分である。  苛立った大人達は自分にストレスを詰めていく。自分の許容量など関係も無しにな。反吐が出るよ、これで先生なのかね?  免許を剥奪させてやりたかったよ。
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