プロローグ

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「欠点で結構。何にせよお喋りというのは苦手なんだ。同性でも困るのに異性ともなると尚更な」 「私もお喋り苦手なんだ。あんまり、やった事がなくて……」  他人と触れ合っていない2人だからな。当然、お喋りが苦手な2人である。  沈んでいく空気。重い……。これは友達1人作れなくても不思議ではない、自分ならこんな友達なんて作りたくもないな。  このまま気まずい感じで終わり、今まで通りに関知せずな関係で終われば良いものを。無理して頑張ろうとする織崎は、 「あ、あのさ。柏壬君って――――」  そこからは織崎による質問ばかりだった。お喋りとしては程遠く、一問一答に近い形は何だ? 会話下手にも程がある。  織崎の質問に対し、適当にあしらう自分もそうなのだが。返答したものから会話が拾えない織崎も問題であろう。  その中で唯一、織崎が会話を拾ったものといえば。 「柏壬君は両親の事、好き?」 「嫌いになる事件は起こってないし、自分を世話してもらっているのに嫌いになれもしない。特別好きという訳もないが」  感謝はしても、それ以上に好いてはいない。普通の奴はそうであろう。そこから親密なのか疎遠したいかは、個人の問題と環境の違いになる。  自分の返答に対し、意外という顔をして驚いた織崎は、
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