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昼頃。 警察の人間がやって来た。 だけど俺は、何も言わず黙っていた。 警察の人間は、溜め息を吐きながら病室から居なくなった。 「前原さん…。大丈夫…?」 看護婦さんが心配そうに俺に近づいて来た。 「大丈夫です…。いつものことですから…。迷惑かけて…ごめんなさい…」 看護婦さんは、少し苦笑いを浮かべながら俺の肩を揉み始めた。 「我慢しなくても良いんだよ…。辛い時は…私を頼ってくれても良いんだからね…。一人で…背負い過ぎないようにね…。肩の力を抜いて…リラックスしましょうね…」 看護婦さんの優しさに胸が傷んだ。 俺は、アナタにそんなことを言ってもらえる程、罪の軽い人間ではないんだ。 その優しさが今は、辛いんです。 アナタには、いつも感謝してるんです。 こんな俺に優しくしてくれるんですから。
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