過去

7/8
前へ
/230ページ
次へ
昨日、発作が酷くなり熱が出た。 苦しくて仕方なかった。 きっとこのまま俺は死んでしまうんだ。 もう意識が薄れていく。 これでやっと皆のところに。 「…皆…」 ゆっくりと目を閉じる。 「圭一クン」 レナの声。 「圭ちゃん」 魅音。 「圭一」 梨花ちゃん。 「圭一さん」 沙都子。 「…皆…」 俺は、瞳から流れるものに気づく。 「何、泣いてんのさ?圭ちゃんらしくないな」 魅音が茶化しながら俺の手を握る。 「圭一…。お帰りなさいなのですよ。にぱ~☆」 梨花ちゃんが頭を撫でてくれて。 「圭一クン。はうぅ~。泣かないで欲しいかな…かな…」 レナ。 「情けないですわね。圭一さん」 いつもの生意気口調の沙都子。 皆。 ここにいたんだ。 俺のこと。 待っててくれてたんだ。 「ごめんな…。待たせてよ…」 俺は、涙を拭う。 そして 「行こうぜっ!!皆っ!!」 笑顔の中。 現実の中の俺は、介抱虚しく息絶えた。
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加