日常茶飯事

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この家は、とにかく色んなところで色んな音がします。 パキッとか、ピシッとかは、もう当たり前すぎて 逆に鳴らない方が不自然で怖いくらいです。 誰もいないのに足音が聞こえたり、階段を上がる音が聞こえたり、玄関の戸を開ける音が聞こえたり、何処からともなく何か音楽のようなものが聞こえてきたり。 夜中にトイレに行った母がスーっと白い影が横切って行くのを見たり。 何だか、当たり前になりすぎて気付かなかったことがあります。 キッチンで友人と長話をしていると、何やら、 ポキッ…ポキッ…パキッ…と、音がするのです。 何処から聞こえてくるのかよく分からなかったので、そのまま聞こえないフリをしていました。 でも、その音は、止むこと無くひたすらずっと聞こえていたのです。 友人も何の音か気になっているようでしたが、我が家のことはよく知っていたので、その音について触れることなく、知らん顔をしていました。 でも、そのうちに我慢が出来なくなったようで、そそくさと帰っていきました。 私は小腹が空いたので、昔ながらの、ちびろくラーメンを食べようとして棚から袋を取り出しました。 すると、何と! 小さなラーメンが六個、袋に入っていたものが全て、きれいに無くなっているではありませんか! 袋はそのままの形を保ち、中身だけがすっからかんなのです。 よく見ると、小さな穴が開いていました。 そして、ひょこひょこと棚から、お腹がパンパンに膨れ上がった小さなネズミが、実に満足気に悠々と歩いてくるではありませんか! 私は思いも寄らない、あまりにも現実的な出来事に呆気に取られてしまい、その間にそのネズミは、ヨッタヨッタと逃げていきました。 もしかすると、この家で聞こえる音って…ネズミの仕業!? それはそれで、ゾッとするのでした。
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