地図

3/3
前へ
/108ページ
次へ
その頃です。 叔母が私に言いました。 「お前には勘がある。夜、寝るときには、絶対に窓を開けて寝てはいけないよ。」 私は、何故叔母が突然そんな事を言ったのか そのときは少し怖いとは思いましたが、日が経つにつれ、祖母の夢も見なくなり、叔母が言ったことも忘れかけた頃 私は久しぶりに 夢で叔母に会っていました。 叔母は、見知らぬ女の人と一緒にいて、私に地図を書いてほしいと言いました。 私は、駅から家までの地図を書こうとしたのですが、気がつくと行ったこともないはずの、その場所の地図を書いていました。 黄色の山を越えて 紫の海を渡り、 そのまま真っ直ぐ行ってください。 叔母は、穏やかな顔で安心したように見知らぬ女の人と旅立っていきました。 そして翌日、 叔母が亡くなった連絡が入りました。 その頃からです。 不思議なこともあるもんだ なんて、悠長なことを言ってられなくなったのは。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加