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私が中学生だった頃、共働きの両親と、大学生と高校生の兄がいたのですが、家は常に留守状態で、私は鍵っ子でした。
私は家に一人でいることが大嫌いでした。
ある日学校から帰って、家の鍵を開けてガラッと戸を開けると同時に
ピンポーン
と玄関の呼び鈴が鳴ったのです。
誰も訪ねてなど来ていないのに。
呼び鈴は、戸の横の壁にあり、私はその壁の横に立って鍵を開けているので、誰かがこっそりやってきて、ピンポンダッシュをしていける訳はないのです。
私は怖くて
家に入ることができずに、また鍵を閉めて、自転車に乗り、国道沿いを当ても無くずっと走り続けていました。
そして、誰かが家に帰って来る時間になるまで、とにかく時間を潰しました。
家に帰ると、大学生の兄がテレビを見ていました。
私はホッとして部屋に入ると、兄が慌てて来てこう言いました。
「おまえ、家におらんかったんか?」
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