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私は結婚して、一度は家を出たのですが、兄が結婚して家を出たのをきっかけに両親と同居すべく、再び家に戻ってきました。
生活費も安く済むし、幼い息子の面倒も見てもらえるということで主人も賛成してくれました。
家が怖いということを、大人になるにつれ、忘れていた私は、両親と一緒に過ごせる安心感でいっぱいでした。
夏のある夜。
布団で親子三人、川の字で寝ていると、壁際で寝ていた私は、何となく寝苦しくて、ふと目が覚めました。
と、同時に、ざわざわと何とも言えないたくさんの人の話し声が聞こえてきたと思ったら、突然、金縛りにあいました。
そして、壁の中から
「こっち、向いてみい。こっち、向いてみい。」
と、低くてエコーのかかったような不気味な声がするのです。
私は、固く目を閉じて
うるさいねん!どっか行けや!このボケ!
と、ずっと心の中で念じていました。
暫くすると、ふっと体が軽くなり、金縛りが解けました。
私は、これまで久しく無かった出来事に、恐怖のあまり、真ん中に寝ていた息子を壁際に押しやり、主人に抱きついて眠りました。
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