2  棗Side

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震えた声で聞き返す。 まさか、まさかな……? 「今日から俺の……なんだって?」 さつきは俺を一瞥し、ニヤリと笑って答える。 「家庭教師。スパルタ指導してやるよ」 唖然。聞き間違いであって欲しかった……。 開いた口が塞がらない俺をよそに、さつきは淡々と説明を始める。 「えー、簡単に説明すると、俺が来るのは平日は月・火・木の3日。19時から22時の3時間。で、休日は……」 「ちょっ! ちょっと待って! お前……いや、檜嶋さん。22時って! そんな時間まで居るわけ?」 俺が『お前』から『檜嶋さん』に言い直したのは『お前』と言った瞬間、さつ……檜嶋さんの視線が鋭くなったからだ。 そっちは勝手に俺のこと呼び捨ててるくせに。理不尽な奴。 22時? 明らかにおかしいだろ! 「お母さん……一ノ瀬さんの了承は得たし、なにより薺さんの希望の上だ。文句を言うな」 あんの糞兄貴ぃーっ! なんの嫌がらせだよ、これ! 「週3日……きつい」 「おい、待て。誰が週3日なんて言ったよ」 えっ!? 3日じゃないのっ? 「それは平日の話。休日は11時から15時と18時から22時の2つのコースに分けて、主に土曜日が11時から。日曜日が18時から。あとは俺の都合で変える」 その言い方は、土曜日曜と、両方あるって言ってるよな? なんで貴重な休日をこいつと過ごさなきゃいけないんだ! それに、『俺の都合で変える』って……俺の都合は!? こっちの事情は聞かないってか!? 「質問は?」 「……じゃあ、1つだけ」 俺の人権はどこですか? なんて質問はしないさ。 どうせ、無いって言われて終わりだからな。 「時間帯がご飯時にすべてかぶってるのは気のせいでしょうか?」 一ノ瀬家は、お昼ご飯は13時。晩ご飯は20時。 見事にかぶっている。 「まぁ、ご飯はこちらで頂く予定だしな」 ……なにぃっ!? ふっ、ふざけんな!! なんの得があってこの変態と食卓を囲まなきゃならないんだ!!  
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