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震えた声で聞き返す。
まさか、まさかな……?
「今日から俺の……なんだって?」
さつきは俺を一瞥し、ニヤリと笑って答える。
「家庭教師。スパルタ指導してやるよ」
唖然。聞き間違いであって欲しかった……。
開いた口が塞がらない俺をよそに、さつきは淡々と説明を始める。
「えー、簡単に説明すると、俺が来るのは平日は月・火・木の3日。19時から22時の3時間。で、休日は……」
「ちょっ! ちょっと待って! お前……いや、檜嶋さん。22時って! そんな時間まで居るわけ?」
俺が『お前』から『檜嶋さん』に言い直したのは『お前』と言った瞬間、さつ……檜嶋さんの視線が鋭くなったからだ。
そっちは勝手に俺のこと呼び捨ててるくせに。理不尽な奴。
22時? 明らかにおかしいだろ!
「お母さん……一ノ瀬さんの了承は得たし、なにより薺さんの希望の上だ。文句を言うな」
あんの糞兄貴ぃーっ!
なんの嫌がらせだよ、これ!
「週3日……きつい」
「おい、待て。誰が週3日なんて言ったよ」
えっ!? 3日じゃないのっ?
「それは平日の話。休日は11時から15時と18時から22時の2つのコースに分けて、主に土曜日が11時から。日曜日が18時から。あとは俺の都合で変える」
その言い方は、土曜日曜と、両方あるって言ってるよな? なんで貴重な休日をこいつと過ごさなきゃいけないんだ!
それに、『俺の都合で変える』って……俺の都合は!?
こっちの事情は聞かないってか!?
「質問は?」
「……じゃあ、1つだけ」
俺の人権はどこですか? なんて質問はしないさ。
どうせ、無いって言われて終わりだからな。
「時間帯がご飯時にすべてかぶってるのは気のせいでしょうか?」
一ノ瀬家は、お昼ご飯は13時。晩ご飯は20時。
見事にかぶっている。
「まぁ、ご飯はこちらで頂く予定だしな」
……なにぃっ!?
ふっ、ふざけんな!!
なんの得があってこの変態と食卓を囲まなきゃならないんだ!!
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