2  棗Side

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「おかしいだろ!? 檜嶋さんはただの家庭教師でしょーが! 何でご飯まで食うんだよ!」 必死に阻止しようとする俺を見て、無駄だと嘲笑うかのように檜嶋さんが微笑む。 「俺、ただの家庭教師じゃないよ?」 「……どういうこと?」 「俺への支払いはご飯なんだ」 『支払いはご飯』……? えっと……つまり…… 「お金はいらない。そのかわり、ご飯を提供してもらう。……こういうこと?」 「正解。なんだ、薺さんがあんなに必死に頼むから、どんな腐れ脳みその持ち主かと思ってたのに。自己解決できるくらいの頭はあったのか」 おもいっきりグーで殴りたいところだけど、ここは我慢我慢。 「お金のほうがよくない?」 「金はいらない。それよりご飯」 理解できない。 週5日、食べれるのは1日1食だけの俺ん家のご飯の為に給料を捨てるって? そこまで美味くないぞ? まぁ、不味くもないが。ごくごく普通の家庭料理だ。 母さんは料理人でもないし、カリスマ主婦なんてたいそうな人でもない。 その辺に居る、のほほんとしたただの主婦だぞ? 「俺に檜嶋さんは理解出来ねぇわ」 「しようとしなくていい。気色悪い。……ところで、せっかく俺も居るわけだし、勉強するぞ」 はぁ? 勉強? なんで? 明日からなんじゃないの? 「嫌だよ! 明日からなんだろ!?」 「一応今日は土曜日だ」 土曜日……土曜日は11時から15時まで。 今何時何分だ……? 俺はベッド上の目覚まし時計を手に取り、時間を見る。 15時20分。 よっしゃ! 「もう15時過ぎてるので」 俺は目覚まし時計を持ち、得意気に檜嶋さんの目の前に突きつける。 檜嶋さんは目覚まし時計が顔に近すぎて見えなかったのか、俺の手から取ると時刻を確認し、「ほんとだ」と呟く。 よし、勝ったな。 そのまま大人しく帰れ。 お前の分の茶菓子は俺が美味しく頂いておく。 カタ、と目覚まし時計を机に置く音。 さぁ、帰れ! 「なにニヤけてんだよ。さっさと勉強道具だせ」  
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