2  棗Side

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お茶菓子を持って部屋に戻ると、さっきまであった甘いムードは姿を消していた。 それからはみっちり勉強! とにかく勉強!! ひたすら勉強!!! 途中、頭をガシッと掴まれるハプニングも起きたけど……。 俺がひたすら問題を解き、つっかえたら皐に教えてもらう……という具合で。 もちろん、教えてもらうのは答えじゃなくて解き方。 疑っていた頭の良さも解消された。 教え方が凄く上手いんだ。人は見かけによらず、か。 そして今は夕飯なんだけど…… 俺と皐はリビングに来た瞬間、自分の目を疑った。 唐揚げにスパゲティ、ミニハンバーグにポトフ。 全部俺の好きな料理。味覚がお子ちゃま? そんなの自覚してる。 俺は、自分の大好物がたくさん並べてあって嬉しい……けど、 なに!? なんなの!? この品数! 量! 隣に居る皐も少し引き気味。 「棗! お母さん頑張ったわよ! ほらほらっ! 檜嶋さん、ごめんなさいね? どんなのが好みかわからないから……棗が好きなのにしちゃったわ」 「だぁっ! う、うるさいっ! それよりなんだよこの量!? 3人分じゃないだろこれ! 軽く倍はあるぞ! 6人分だ! 6・人・分!!」 「クッ……ッ」 隣に居る皐は必死に笑いを耐えている。 多分皐も、俺の味覚のことで笑っているんだと思う。 だってほら、俺と料理を見比べているから。 「皐、なーに笑ってんだよ」 ツンツンと皐のお腹を指でつつく。 「ちょ、やめ……フッ。ハハッ、やめろ。なつ、め」 皐はまだ笑いを必死に耐えようとしている。 そんな俺たちのやり取りを見て、母さんは信じられない言葉を言ったんだ! 「ずいぶん仲良しなのね? なら、檜嶋さんの布団は棗の部屋でいいかしら」 「「え?」」 「……母さん? 言葉は選ぼうぜ? それじゃ、皐が家に泊まるみたいな言い方だけど?」 「泊まるわよ? 薺と電話で話し合ったんだけどね、ご飯食べてからも勉強するんでしょう? 明日もあるし……。だったら、連日のときだけ泊まってもらおうか、ってね!」 『ってね!』じゃねぇよ! 可愛く言ってみたって無駄だよ! だって全然可愛くねぇもん! 沸々と怒りを溜めていく俺をよそに、母さんは皐に視線を移す。 「檜嶋さんも、いいわよね?」 「あ、え、えぇ。一ノ瀬さんがよろしいのなら……」 そこは拒否しろよ! 「じゃ、ご飯食べましょっ」  
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