2  棗Side

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それから俺たちは大量のご飯を食べ続け、作った母さんは1人前だけ食べてお風呂に向かった。 残された5人分のご飯。 それを男とはいえ、2人で食べるのは中々困難で……。 俺は元々少食だし、1人と半人分を食べてギブアップ。 皐は……3人分以上をたいらげ、俺の横でダウン。そして、強烈な睡魔が襲って来ているらしい。 「無理して食べなくてもよかったのに」 「出されたもの……全部食う。……それより、一ノ瀬さんに見られる前に……部屋」 まぁね。母さんも、自分の料理のせいで客人がこんな状態になってたらさぞかしショックだろう。 「動けるか?」 「ん~…………ひっ」 ……えっ? さっきまで食べ過ぎて真っ青だった皐の顔は真っ赤。 そのうえ、目がトロンとして、潤んでいる。 え……? 酔ってます……? 確かに、皐はお酒を一杯だけ飲んでいた。 『出されたもの……全部食う』 もしかして、お酒弱いんじゃ……? 皐を見ると、今まさに睡魔に意識を明け渡そうとしているところ。 ここで寝られたら俺が困る! 自分より20cm(推測)もでかいやつを2階まで運べるわけない! 「皐! おいこら寝るな! 寝たら死ぬぞっ!!」 「ぅん……」 千鳥足の皐を寝かせないよう、声をかけながら俺の部屋まで運ぶ。 え……っと、どこに寝かせばいいのかな? 勉強するときに皐が向かい合ったほうが教えやすいということで、簡易折り畳みテーブルを出して……出しっぱなしだったから布団を敷くスペースがない。 とりあえずベッドに寝かせて……片付けてから……だな。 ベッドに皐を座らせる。 「ちょっと待ってろよ……」 よし! 片付け開始! 俺はまず簡易テーブルを片そうと屈もうとする。 すると、背中に違和感。 ラフな格好のはずなのに、ピッタリとシャツが背中に張り付く感覚がした。  
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