2  棗Side

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首だけ後ろにもたげると、シャツの裾を皐が指で摘んでいた。 それも、かなりの力で。 「……んだよもう」 それから数分、指を外そうと試みるが、力が強くてまったく動かない。 本当に寝てんのかっ!? こいつっ! この身長差とはいえ、寝てる相手に力で勝てないとか、認めたくないんですけど! これ以上もがいても、自分がどんどん惨めになっていくだけだし、実は俺も眠い。 早めに片付けるべく、俺はシャツのボタンを外し、シャツを脱ぎ捨てる。 うん、これで自由だ。 さっさと片付けて、布団敷いて、俺も寝よう! この際、皐を移動させるのは面倒臭いから、俺が布団でいいや! 勉強道具や机を片付けていき、布団を押し入れから引きずり出す。 枕を取り出したところで、俺は新たな問題に直面した。 俺、低反発枕じゃないと嫌なんだけど…… さっきまでベットに腰かけていたはずの皐はいつのまにか寝転がり、俺が敬愛……いや、むしろ崇拝する低反発枕様は皐の頭の下。 交換……してもいいよな? たかが家庭教師にベットで寝かしてやってるんだ。 俺は枕カバーの両端を掴むと、テーブルクロス引きのごとく思いっきり引き抜く! 「……ぅっ」 皐は小さく呻いただけで、起きることはなかった。 ……よし。OK。 で、この枕を代わりに……。 代わりの枕を頭の下に入れるためには、まず皐の頭を浮かさなければならない。 「皐……寝てるよな?」 「………………」  
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