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一ノ瀬さんから使い方の説明を受け、シャワーを浴びていると脱衣室の扉が開く音がした。
「皐? 着替え置いてくからね?」
「んー」
頭が冴えていく気がする。
棗が上半身裸で俺の上に居た時点で、酔いは醒めていたのだが。
熱いシャワーを浴び、棗の声を改めて聞くと、
俺はなにをしているんだ!!
と叫びたくなるほどの羞恥。
開発って……馬鹿か俺は。ふざけるなと言いたい。ちくしょうめ。
「なにしてるの? ……皐」
はっ!?
後ろをバッと振り返ると、スモークガラス越しに恐らく俺を見ている棗のシルエット。
「なにが?」
「なんか頭抱えたりしてなかった? いきなり立ち上がったり」
「頭洗ってんだよ。ストレッチと同時進行でな。もうあがるから出ていけ馬鹿」
「はーい」
棗のシルエットが消える。
俺は深いため息をつくと、風呂からあがった。
体を拭き、棗の用意してくれた着替えを着る。
下着は新品のようだ……が、なんだよ、コレ?
その下着は、黒い下地に子供達に人気な、某有名実写アニメのミニキャラクターがところ狭しとプリントしてある。
両手を突きだし、水平に飛んでいる奴。
片手のみを突きだし、今まさに飛びます! という奴。
胸にある3分経つと光るランプが光っている奴も。
これを、俺に履けと。
これを……
リビングに居る一ノ瀬さんに軽く挨拶を済ませると、2階に居るであろう、馬鹿を目指し階段を登る。
棗の部屋の扉を開けると、携帯電話を手に持ちながら、睡魔と戦っている棗が目に入る。
「おい、風呂入らねぇのか」
と言うのは口実で、棗が起きたらすぐに、俺にこの可愛らしいキャラクターパンツを履かせた報復をするつもりだった。
棗の体をしばらく揺すると、重そうな瞼を上げる。
「あれ? 皐……長谷川さんは?」
どうやらまだ寝ぼけているらしい……。
それより…………
「はせがわ?」
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