3  皐Side

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……ん。 今、何時だ? 俺はいつ寝た? 頭痛い……。 携帯で時間を確認する。6時……。あれ? 6時……? 「おいこら、皐! 開けろって! ふざけるなよ!?」 その声で一気に目が覚める。急いで玄関に向かい、ドアを開ける。 「……悪い」 「お前まじでふざけんな……」 俺に対して激怒してるのは薺。棗の兄貴だ。バイト先の元先輩。 「寝てた」 「5時前に俺を呼び出したのはどこのどいつだよ……」 「ここのこいつ。悪い悪い」 「別にいいけどよ。これで大した話じゃなかったらすぐ帰るからな。おじゃましまーす」 薺は部屋に入るなり、いつものようにため息をつく。 「薺さ、毎回毎回ため息つくのやめろよ」 「ため息もつきたくなるよ。なんなんだよ、この生活感の無い部屋。布団とテーブルしかねぇじゃねぇか」 俺の家は8畳2部屋。あとはトイレと風呂とキッチンのみ。1人暮らしだし、インテリアとか興味無いし、家具にかける金が勿体ないからテーブルだけ。衣服は段ボールの中。食器などもマグカップ1つだけ。毎日コンビニ弁当だからな。 「棗とは上手くいってんのか?」 テーブルの前に座ると、薺は少し楽しそうに話す。 「……そこそこにな」 ちょっかい出しちゃったとか言えないもんなぁ。言ったら……抹殺されるかもな。 「可愛いだろ? 棗」 ニヤニヤ笑いながら薺が俺に問う。そんなだから弟に嫌われるんですよ? お兄さん。 「普通。なんだよ、なんて言ってほしいわけ?」 「皐は特別な子のことを『普通』って言うよなぁ。嫌いな奴は『興味無い』。普通な奴は『どうでもいい』。皐は人を褒められねぇよな? 『普通』の子以外の奴らは。で、もう1回訊くけど、どうよ? 棗は」 そこまで言ったらもうわかってるんだろ? なんだこいつ。俺を虐めて楽しんでんのか? 変態め。 ふと顔を上げると、薺と目が合う。 なんでも知り尽くした様な目。 嘘を許さぬ目。 薺の前なら……俺は素直になれる。 「……本気で愛した相手が男だと……同性だといったら。お前は俺を嘲笑うか?」 薺はニヤニヤした笑みではなく、安心したような笑みを浮かべた。 「全然」  
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