2  棗Side

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俺はコップにお茶を注ぎ、階段をのぼる。 なんで俺がさつきのためにこんなことっ! わざと大きな足音をたて自室の前に立つ……が、両手が塞がっていて開けられない。 「おい、さつ……じゃなくて、檜嶋さん。開けて」 数秒後、ガチャリとドアが開きその奥に立つのはニヤリと笑うさつき。 「なにニヤけてんだよ。気持ちわりぃ」 「お前って、ああいうのが趣味?」 さつきはクイッと親指で後ろを指す。 こいつ、母さんが居るときと言葉遣いが違う! 確か、メールもこっちだった! 2重人格者かテメェは! 俺はさつきの指す方を見る。 そこにあったモノは 「……あっ!」 俺がこよなく愛す、大好きな大好きな B L 漫 画 !!! しまい忘れたんだ! な、なんでよりによってこんな奴にっ! 絶対にバラされる……! いや、待て。 落ち着くんだ、棗。 カバーこそエロいが、1人は女の子っぽい顔をしているんだ。 中を見てなきゃ、BLだとはわからないんじゃないか? 背筋に汗が伝うのを感じながら、必死に平静をよそおう。 皐は顔から笑みを消すと、ドアを全開にする。 「まぁ、入れば?」 俺の部屋だよっ! 偉そうにっ! 何様だっ! と、言いたいところだが、中を見られている可能性があるので黙っておく。 「茶」 「どうも。……なに?」 俺がジトーッと見ているとさつきが気付く。 「中、見た?」 「なんの?」 「コレ」 俺は傍らの漫画を手に取りさつきに見えるように胸に抱く。 「中は見てねぇよ」 「ほ、ほんとっ?」 まだ信じるなっ! 棗っ! さつきは2重人格者だっ! 「ほんと。俺は嘘が好きじゃない。……まぁ、いいんじゃねぇの? 年頃のガキならエロ漫画の1つや2つ読むもんだろ」 よかったーっ!! さつき、意外にいい奴じゃん!? 「棗。茶、おかわり」 「はい、ただいまっ!」 俺はコップを手に取り1階へ。 俺は、限りなく馬鹿だった。  
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