見た目で人は判断出来ない

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「一人でなんか行くなー花音っ!!!!」 「あれ。何かデジャヴ?」 疑問を抱えながら、足にすがる竜を軽々と蹴り飛ばす。 昨夜急ピッチで荷物を詰めたピンクのキャリーケースを持ち上げると私は玄関まで歩き始めた。 「今日は那智さんに頼み込んで仕事御休みさせて貰うから……だから待ってくれ!」 「はぁ?竜ってもしかしなくても馬鹿?だってパパがそんなこと許すわけないじゃんっ★」 わざわざ足を止めて振り向いた、私の必殺毒吐きwithスマイルにノックアウトした竜はへなへなと崩れ落ちた。 かのーかのーと何故か苦し紛れに呻いているがほっといてもいいだろう。誰かがどうにかしてくれるよね。 玄関を出ると横一列に整列していたパパの舎弟さんが同時に腰を折って挨拶する。 「お嬢、いってらっしゃいませ!!」 行ってきます、私はいつものように笑顔で挨拶を返す。そしていつものようにマロンさんの運転する黒塗りの車に乗り込んだ。 これから向かう場所まではいつもと同じ、という訳にいかないが。 窓越しに玄関先を見ると、舎弟さん達が車に向かおうとする竜を必死に抑え込んでいた。 明日には会えるだろうに……どうしてこう、昔から毎度のように一生の別れみたいな反応をするのだろうか。 しかしその姿は警察に取り押さえられた犯人にしか見えなくて。 全く相変わらずだなぁと私は優しく微笑んだ。
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