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確かにドキドキして顔が火照るのを感じたが、それよりもようやく止められたことにほっとして一気に身体の力が抜ける。すると私はガクッと崩れ落ちそうになる。
しかし、すかさず美男子はそれを受け止めてくれた。
「に、煮干しぃ……」
わっと溢れる涙と共に溢れたのはやはり煮干しという言葉。
そして私は抱き締められた状態だったので自然と顔を美男子の胸に押し付けて泣いた。だから分かった。
コイツ、笑ってやがる!
なんて奴だと顔をゆっくりあげ、まだ涙の渇かない目で睨みを効かせた。どうやら美男子は背が高いらしく、首が痛いが然程気にならなかった。
「笑うなよぉ……」
「だって煮干しって言いながら泣く女とかすげぇ貴重。全然可愛くないよね」
私は馬鹿にするような口調に対して更に睨みを効かすと、また意地悪そうににやりと笑った。
「まぁ。その目はすごくそそるんだけど」
顔は反らせられなかった。
本当に綺麗な顔だなぁとか、そそるって何?とか、色んなことを考えてたんだもん。
気付いたら優しく唇が重なって。
私は美男子とキスしてた。
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