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シャワーから出てきた隆が遅めの昼食を軽く取り、出かける為の準備をしていると、2歳年上の姉、由希から電話がかかってきた。
「なんだよ姉貴かよ…」
そう思いつつも隆は電話に出た。
「あんた今家でしょ? お母さん、なんか様子おかしかったりしない?」
いきなり意味の分からない質問をされ、隆は少し面倒臭くなり、怪訝そうに答えた。
「なんかって何だよ。俺これから出かけるんだけど…」
由希はそんな隆の態度を気にもせずに言った。
「いいから、ちょっと様子見てみて」
由希の声は妙に真剣だった。
「何だよそれ…」
隆は面倒くさいと思いつつも、母のいるリビングに向った。
母はいつも通りに夕食の準備をしている。
「別に普通だよ。鼻歌歌いながら飯作ってるよ」
隆は見たままを伝えた。
確かに母はいつもと変わりない様子だった。
「そう…ならいいんだけど。
なんか…今日朝お母さん見たときに、嫌な感じ…というか予感がしてさ。
何も無いなら良いんだけど…
じゃあなんか気付いたらスグに連絡してね。」
由希の声は真剣に心配をしている声だった。
「あぁ分かったよ。」
由希の真剣な様子に気づきながらも、そのまま電話を切った。
「姉貴や母さんがこういう時って、決まってよくない事が起こるんだよなぁ」
そんな考えが一瞬頭を過ぎったが、隆の頭の中は今日の飲み会の事で一杯になっていた。
そのことが隆の不安な考えを遮った。
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