1.隆

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 シャワーから出てきた隆が遅めの昼食を軽く取り、出かける為の準備をしていると、2歳年上の姉、由希から電話がかかってきた。 「なんだよ姉貴かよ…」  そう思いつつも隆は電話に出た。 「あんた今家でしょ? お母さん、なんか様子おかしかったりしない?」  いきなり意味の分からない質問をされ、隆は少し面倒臭くなり、怪訝そうに答えた。 「なんかって何だよ。俺これから出かけるんだけど…」  由希はそんな隆の態度を気にもせずに言った。 「いいから、ちょっと様子見てみて」  由希の声は妙に真剣だった。 「何だよそれ…」  隆は面倒くさいと思いつつも、母のいるリビングに向った。  母はいつも通りに夕食の準備をしている。 「別に普通だよ。鼻歌歌いながら飯作ってるよ」  隆は見たままを伝えた。  確かに母はいつもと変わりない様子だった。 「そう…ならいいんだけど。  なんか…今日朝お母さん見たときに、嫌な感じ…というか予感がしてさ。  何も無いなら良いんだけど…  じゃあなんか気付いたらスグに連絡してね。」  由希の声は真剣に心配をしている声だった。 「あぁ分かったよ。」  由希の真剣な様子に気づきながらも、そのまま電話を切った。 「姉貴や母さんがこういう時って、決まってよくない事が起こるんだよなぁ」  そんな考えが一瞬頭を過ぎったが、隆の頭の中は今日の飲み会の事で一杯になっていた。  そのことが隆の不安な考えを遮った。
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