こんなに愛してさえいるのに…

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あの人さえいなければ!!いなければ…宍戸さんは… 「集合!!」 部長の跡部さんが指示をだした。 「今日からマネージャーが入る」 そう言われ一人の女の子が前へ出た。 「三年で、後一年だけですけど、一生懸命頑張りますので、宜しくお願いします!!」 その女の子は笑顔で言った。 だが俺は、『どうせ顔が目当てで入ったんだろう』と、思っていた。 でも、その女の子はマネ業もしっかりやり、愛想良く、周りとも仲が良く、馴染んでいた。 「長太郎!!」 「はい!!宍戸さん!!」 こうして宍戸さんとダブルスをやっている事が嬉しい。 でも、試合が終わるとあのマネージャーがタオルとドリンクを持って来て、宍戸さんと楽しそうに会話する。 それがとても嫌だった。 だって、好きな人が異性と楽しそうに会話してるのを見るのは、誰だって嫌でしょう? 二年生の俺と、三年生の宍戸さん。 会わない時の方が多い。 せめて部活の時ぐらい、離れ下さいよ。 貴女は三年で、しかも宍戸さんと同じクラス。 いつでも会えるでしょう? ―――数日後――― 「長太郎!!」 「はい?何ですか?宍戸さん」 今日はやけに機嫌が良い。 「俺、彼女が出たんだよ」 「え…?」 意味が分からなくなった。カノジョ?何ですか?それ! 「だ、誰なんですか?彼女って」 動揺が隠しきれない。 「ん?マネージャー。」 一瞬、頭の中が真っ白になった。 でも、心の奥底には信じたくないと、いう気持ちがある。 「本当、ですか?」 「嘘言ってどうするんだよ」 「そう、ですよね」 宍戸さん、そんなに爽やかに笑っても俺のこの、黒いモヤモヤは消えないんですよ 『どうして?どうして俺じゃないんですか? どうしてあのマネージャーなんですか?!』と、その疑問ばかり頭の中で、グルグルと回っている ずっとダブルスをやってた俺より、最近入ったばかりのあのマネージャーの方を取るんですか?!俺よりあのマネージャーの方が良いんですか?! 嗚呼、宍戸さん。もう手の届かない所へ行ってしまったんですか… でも、必ず取り戻してみせますよ…絶対、俺のモノにしますから… 俺はあのマネージャーも許せないし、そのマネージャーと付き合った宍戸さんも許しませんから… 覚悟してくださいよ… 先輩方…
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