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こんな話しもあります。あるとき、赤ずきんが、またおばあさんに焼き菓子を
持っていった時、別の狼が赤ずきんに話しかけ、道からそれさせようとしました。
けれども赤ずきんは用心をして、さっさと先へ行きました。
そしておばあさんに、狼に逢ったこと、狼がこんにちはと言ったけれど、
目は意地悪そうだったことを話しました。
「往来の真ん中でなかったら、食べられていたわ」-「おいで」と、おばあさんは言いました。
「狼が入ってこられないように、扉に鍵をかけましょうね」
それから少しして、狼が扉をたたいて、大きな声で言いました。
「開けてちょうだい。おばあさん、赤ずきんよ。おばあさんに焼き菓子を持ってきたわ」
けれども赤ずきんとおばあさんは、黙っていて、扉を開けませんでした。
すると悪い狼は、何度も家のまわりを歩き、とうとうしまいには、屋根に飛び上がりました。
そして、晩になって赤ずきんが家に帰るまで待って、こっそりあとをつけて、暗闇で食べてしまうつもりでした。
けれどもおばあさんには、狼の考えていることがわかりました。家の前には大きな石の桶がありました。
「赤ずきんや、バケツを持っておいで。おばあさんね、きのうソーセージをゆでたんだよ。
そのソーセージをゆでた水を、石の桶に運んでおくれ」
赤ずきんは、大きな大きな石の桶がすっかりいっぱいになるまで水を運びました。
すると、ソーセージの香りが狼の鼻に上がっていきました。
狼はくんくん匂いを嗅ぎ、下を見ました。
そして、首をあまり長く伸ばしたため、とうとう持ちこたえることができなくなり、
ずるずると屋根から滑り落ちて、ちょうどあの大きな桶の中に落ちてしまい、溺れ死んでしまいました。
赤ずきんは喜んで、無事に家に帰りました。
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