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じい様と呼ばれた老人は、その答えを聞いて、まだ心配そうにしていたが、そうかと返してサチヨからそっと離れた。 サチヨはそんな老人の後ろ姿をチラッと見ると、また何やら考え出した。 いや、正確に言うなら、‘考え出した’のではなく、‘思い出していた’だ。 サチヨの頭にはある過去のことがまるで先ほど起こったことのように鮮明によみがえっていた。 最初に浮かぶのは真っ暗な闇。 その闇の中には三人の男がいた。 1人は恐怖に顔をひきつらせながらも、必死に自分ではないと叫んでいた。 1人は叫ぶ男をかばっている。 もう一人の男は…2人の男を何の容赦もなく切り捨てた。 2人を切り捨てた男は返り血で真っ赤に染まった。 闇の中、浮かび上がるような鮮明な血色になった。 その時。男は今切り捨てた男たちを見て妖しく笑った。 そこでサチヨの過去の記憶は一時停止したかのように止まった。 男の妖しい笑みが脳裏に濃く貼りついて消えない。
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