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その老人の声に反応したように少女がのびをして、老人を見た。 「私がやります。」 しっかりとした意志をもった幼い声が老人に返事をする。 その返事にそうかと老人はつぶやいた。 そのつぶやきを合図にしたかのように、部屋の扉があけられた。 扉の前には1人の女性が立っていた。 その表情は思い詰めたように暗いものだった。 少女は女性の姿を確認すると、すっと立ち上がり、女性に頭を下げた。 「いらっしゃいませ。さぁ、こちらへどうぞ。」 少女は女性を部屋の真ん中に置いてあるイスに座らせると、その向かい側に座った。 そして、真っ直ぐ女性を見ると、小さく整った形の唇を開いた。 「さて。あなた様がお求めになられる情報について、お聞かせ願いますか?」 幼い声には似合わない、丁寧な口調で、少女は女性に聞く。
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