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女性は視線をあちらこちらに動かしていた。落ち着きがない。
話しづらいことなのか、女性は中々話そうとはしなかった。
少女がしばらくまっていると、やっと女性ははなしだした。
「えっと…私、細川葉月といいます。…えと、それで…あの……。父が2日前に死んだんです。その…殺されてしまったんです。」
葉月は悲しそうに、つぶやくように言った。
少女はただ黙って葉月の話を聞いていた。
同情するでもなく、ただ黙って。
「…最近、辻斬りがありましたよね…剣術の優れた人が次々と殺されたという…。その事件の犯人として、父は殺されたんです…ぁ、あの!父は犯人じゃないんです!絶対、父じゃない…」
悲しそうにつぶやいていた声は、途中から強く叫ぶようなものとなった。
それだけ葉月の父を信じる心は強いのだろう。
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