02

5/8
前へ
/91ページ
次へ
女性は視線をあちらこちらに動かしていた。落ち着きがない。 話しづらいことなのか、女性は中々話そうとはしなかった。 少女がしばらくまっていると、やっと女性ははなしだした。 「えっと…私、細川葉月といいます。…えと、それで…あの……。父が2日前に死んだんです。その…殺されてしまったんです。」 葉月は悲しそうに、つぶやくように言った。 少女はただ黙って葉月の話を聞いていた。 同情するでもなく、ただ黙って。 「…最近、辻斬りがありましたよね…剣術の優れた人が次々と殺されたという…。その事件の犯人として、父は殺されたんです…ぁ、あの!父は犯人じゃないんです!絶対、父じゃない…」 悲しそうにつぶやいていた声は、途中から強く叫ぶようなものとなった。 それだけ葉月の父を信じる心は強いのだろう。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加