9 揺れる想い

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  あれは、教主が来城した日――。 絵理は久しぶりに、夢を見た。 『お姉ちゃん』 『絵理』 自分を呼ぶ、聞きなれた声。 目を覚ませば、見慣れた大好きな家族の姿。 異世界に来たのは夢で。 今は、家族で食卓を囲む至福の時……。 『絵理ったら、ご飯中に寝てたの?』 『も~相変わらず、お姉ちゃんはボケてるな~』 呆れたような母の声も。 憎まれ口を叩く妹の声も。 懐かしくて愛しくて……。 ――……良かったぁ。 安堵と共に涙が流れた途端。 夢は、醒めた。  
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