618人が本棚に入れています
本棚に追加
ルティア紀 35年
大地には戦が溢れ
血流るる時代。
恐怖により世界を統一した一人の王がいた。
王が通りし跡は憎しみの血で大地が黒く染まり、いつしか人々は畏怖を込めて『黒の帝王』と呼ぶようになった。
時を同じくして
一人の少女が顕れる。
黒き髪と瞳をもち、その容姿から不吉を運ぶ忌み子とされていた。
だが、漆黒の双眸に見通せぬ未来はなく
『黒の帝王』を諫め、傍らに寄り添う妃となりて
その叡知で帝国を幸せに導いた。
やがて人々は少女を敬い
『双黒の聖女(おとめ)』
と、呼ぶようになったという。
ルティア帝国記
皇室覚え書き――より
最初のコメントを投稿しよう!