プロローグ

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ルティア紀 35年 大地には戦が溢れ 血流るる時代。 恐怖により世界を統一した一人の王がいた。 王が通りし跡は憎しみの血で大地が黒く染まり、いつしか人々は畏怖を込めて『黒の帝王』と呼ぶようになった。 時を同じくして 一人の少女が顕れる。 黒き髪と瞳をもち、その容姿から不吉を運ぶ忌み子とされていた。 だが、漆黒の双眸に見通せぬ未来はなく 『黒の帝王』を諫め、傍らに寄り添う妃となりて その叡知で帝国を幸せに導いた。 やがて人々は少女を敬い 『双黒の聖女(おとめ)』 と、呼ぶようになったという。 ルティア帝国記 皇室覚え書き――より   
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