1 月の扉

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結局、仕事が終わったのは深夜2時だった。 「――…う~…寒ッ!」 職員用の出入口から外へ出た途端、切るように冷たい冬の風が頬を掠め、絵理は思わず首をすくめる。 草木も眠る丑三つ時。 真夜中の寒さは身に染みるようで、絵理はマフラーをグルグル巻き直しながら駐輪場へと向かった。 夜勤をこなして行く内に、こんな時間に帰宅するのにも、もう慣れた。 実家から通えなくはなかったけれど、夜中に帰宅してばかりでは迷惑だろうと、絵理は近くのアパートに一人暮らしをしている。 帰っても、誰もいない真っ暗な部屋。 慣れたようで、けれど、こんな夜は無償に寂しい気持ちになった。 寒くて…。 寂しくて…。 無償に、誰かの温もりが欲しくなる。  
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