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今まで、付き合った男性がいない訳ではなかった。
けれど、いつも告白されて付き合い出し…
嫌いではないけれど、好きでもない。
曖昧な気持ちのままスタートした恋愛は、気づけば疎遠になり自然消滅。
それが今までの絵理のパターンだった。
だから、友達が羨ましくて仕方ない。
(『結婚』を考えるほどの『好き』って何だろう…)
自転車を押しながら、絵理は再び溜め息をつく。
溜め息で幸せが逃げるのなら、今日で数年分の幸福を逃しただろう。
けれど、そう簡単に沈んだ気持ちを浮上させる事が出来ない。
二十五にもなって、恋愛のこんな初歩で困惑している自分が、酷く不安だった。
(――…私…本当に誰かを『好き』に、なれるのかな…?)
こんな事で悩んでしまう…
その原因も、本当は分かっている。
けれど…――
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