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「――…あー!もぅヤメヤメ!!」
絵理は叫ぶと、勢い良く頭を振った。
落ち込み堂々巡りを始める心を、自ら叱咤する。
悩んだって、すぐに解決する問題ではないのだ。
絵理は気持ちを切り替えるように、冷たい空気を胸一杯に吸い込んだ。
そして夜空を仰ぎ見る。
澄んだ冬の空に浮かぶのは、冴え冴えと輝く大きな月。
けれど、この時は違った。
(――…月が…紅い…?)
異様に輝く月を見上げた瞬間…――
絵理の意識は
捻れて、飛んだ。
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