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『出て行ったんだ 』
慎一郎の部屋のドアを静かに閉め
「まだ怒ってるのかな?」
テーブルの上に置かれたおにぎりを立ったままほおばった
2枚目が完成。
という報告もできないまま
絵を作業場に置いて慎一郎のマンションを出た。
ドアを閉めてふと思う
『この仕事が終わったら慎ちゃんとの繋がりなんてないしここに来る事がなくなるんだな 』
自分の家に戻る事が慎一郎との別れのようで無性に寂しく感じた。
『何日ぶりだろう我が家』
鍵を開けながら自分の家のようで自分の家ではないような
慎一郎と出会ってから度々感じる部屋の冷たさ。
結衣はおもむろに何日かぶりに戻った部屋を掃除し始めた
慎一郎の家から持って帰って来た荷物の整理など、
何度も出入りをしているうちに荷造りも整理も手早く出来るようになっていた。
『遅くなったな 』
二日酔いで昼ごはんに手をつけなかった結衣が、さすがにお腹を空かせているだろう
と、仕事が終わってスグに携帯ポケットから取り出した。
「・・・・・。」
結衣からのメールは入っていない
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