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「メールを待つなんて」
自由に結衣に会えない苛立ちがさらに募った。
「おはよ」
最近では朝一から会社に顔を出すのが珍しくなくなっていた。
「おはようございます 」
直接話す竹井は、未だに朝の慎一郎の顔に少し慣れられない。
「これ 急ぎで頼む 」
手渡された絵は
前回と同じタッチの絵。
「これも細川さんのですか? 」
「そう」
「鉢塚さんとの打ち合わせは?」
『何故2作品も?! 』
竹井の聞きたい事は慎一郎の話で消された。
用件だけ言い渡された竹井は、結衣の絵を改めてマジマジと見ていた。
「あの子がこれを描いたのか」
雑用ばかりやっていたあの子がここまでできるとは思ってもみなかった・・・と。
『会社に常にいた訳でもないのに社長はいつ見抜いたんだ?! 』
無愛想でありながらも仕事のセンスは、この業界の誰にも負けないだろう
自分の会社の社長に、たた惚れ惚れする。
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