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「・・・・・。」
「言わないの?」
慎一郎の顔を覗き込むようにして、もう一度聞き直した。
「結衣ちゃん そういう事は」
「だって私も もう大人だもん」
「・・・・・・。」
慎一郎が何と答えていいのか戸惑っている間にロビー階に到着していた。
腕を組んだまま 2人はまっすぐに出口の扉の方に向かう。
『やっぱり慎ちゃんは子供な私を相手にはしてくれないんだ。』
すでに到着していた慎一郎の車のドアが開けられて
「またお越しください」の言葉と同時にドアが閉められた。
今までの夢のような時間が一気に引き戻されたようで
エレベーターの中以来、慎一郎は何も言わず
2人黙ったままの車の中はエンジンの音しか聞こえない。
『女として見てくれないならどうして優しくするんだろう』
『やっぱり仕事の為?』
大人として扱ってもらえたような、さっきまでの夢のような時間が嘘だったよう
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