01

2/54
前へ
/213ページ
次へ
巫女姫の儀式は、ほぼ半日を犠牲にして執り行われた。 夕鶴の貴重な日曜日は、そんな意味の分からないもので潰れたのだ。 そして朝早く、浮遊霊に起こされた自分は昨日同様不機嫌で。 昨日は今までで特に疲れた日なのだから、もう少し寝ていたい。 それでも学校に行かなくてはいけないと思うと、嫌になる。 「煩いわね、もう。仕方ないか」 浮遊霊はまるで母親のように叱り、時に励ましてくれる大切な家族。 そんな彼らに行けと急かされたら、夕鶴は行くしか選択肢がなくなってしまう。 紺のブレザーに、薄い青のポロシャツには青いチェック柄のネクタイをつける。 黒色のスカートを着終えると、自分は小さく欠伸をした。 母親代わりの浮遊霊だが、流石に料理は作れない。だからいつも自分が作る。 面倒だから昨日炊いたご飯と作ったお味噌汁だけにして、もさもさ食べる。 叉玖には犬用のドックフードと薄めた牛乳。これだけ見ると完全に犬みたいに見えるから不思議で。 「美味しい?」 『ミ』 あまり口にはあわなかったらしい。ドックフードは嫌いなのか。 これからは手の込んだ食事にしなくてはいけないようだ。 「朝はドックフードで我慢してね」 『ニー』 返事をしてから牛乳を飲み始める叉玖。見ていて和む。 朝食が終わったら後は身嗜みだけ。髪を結わなくてはいけない。 立ち上がって食器を片付けたら、そのまま洗面所へ。
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!

149人が本棚に入れています
本棚に追加