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恢は夕鶴に言われた通り、光輝を保健室に連れてきていた。だが運が悪かったのか、保健室の先生は留守らしい。 流石にここで置いていく訳にはいかなくて。嫌いでも自分はそこまで酷くない。 「仕方ねぇなぁ」 ため息を付きながらベットに光輝を乗せて、その横に自分も腰掛ける。早く起きないだろうか。彼に聞きたい事がある。 手の中には鏡の欠片があった。光輝をこれに乗せた時見付けた。少しだが夕鶴の祓った気配がする。 という事は、彼に取り憑いていた本体がいるのはこの鏡という事だ。 「……うぅ」 ふと聞こえてきた唸り声に欠片を弄んでいた恢の手が止まる。視線を向けると、彼はうっすらと目を開けていた。 その視線が横に座っている自分を捕らえた瞬間、驚いたように目が見開かれる。 「……鴉島井」 「よぅ、大野。お前に聞きてぇ事がある」 睨むような冷たい眼差しを向けると光輝の体が強張った。それを無視して、彼に手の中にある欠片を投げ渡す。 「なんだこれ?」 「惚けんな。どこで手に入れた?お前、自分が何かに憑かれた事気付いてんのか?」 「憑かれた?」 何も分かっていない彼に分かりやすく先程の出来事を話す。みるみる青くなる光輝の顔。それを見ながら、自分は質問する。 「最後の記憶はいつ、どこのだ」 「……昨日の夕方。生徒会室の奥の部屋にある鏡に触れた時だ」 多分その鏡というのに本体がいる。瞳を細める。何の感情も宿さないその瞳に、光輝は怯えているようだ。
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