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―――――――――――――― 「失礼だな、お前」 今は校舎の中にいる。恢は先程浮かべた眞智の表情をあまり快く思ってないらしい。 「だからすみませんって!夕鶴が居るかと思って」 自分の中で、恢が居るという事はつまり夕鶴もいるという事で。来るなと言われていたのに見付かる訳にはいかない。 「お前、凄いな」 「なんだかんだで夕鶴は私を怒りませんよ」 小さく笑う。夕鶴は自分に甘いのだと、長い付き合いの為によく知っている。 普通に会話をしているが、回りには成れの果てが大量にいる。彼の風で守られているから無傷だが、少し居心地が悪い。 少しでも役に立てる事があればいいのに。少しでも、力があればこんな事には。 「……無駄な事は考えんなよ」 不意に恢がそう呟いた。眞智が慌てて彼を見るのだが、ただ前を見ているだけだ。 「力がない事を悔やむ必要はねぇし、お前には一応力がある。ただ覚醒してないだけだ」 「覚醒?」 その言葉が引っ掛かった。不意に頭の中に浮かんだのは、あの最奥にあった青白い炎。 あの炎に手を伸ばせば覚醒する事が出来るのかもしれない。根拠はないがそう思った。 「先輩、ちょっと手伝ってください」 夕鶴がいないから、思う存分それに手を伸ばせる。覚醒さえ出来れば自分も役に立つ。彼女を守れるから。 目を閉じた眞智の脳裏に、再び炎が見え始める。前より勢いよく燃え上がっているそれは、早く早くと急かしているようだ。 イメージの中で手を伸ばす。暖かい、自分を包み込んでくれるような優しい暖かさ。 それに触れた瞬間、どくりと体全体の血が反応したような違和感があった。
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