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その悲鳴が眞智のものだと気付いて振り向く。そして覚醒した彼女の姿に、一瞬だけ目を細める。 「……眞智」 「夕鶴、大丈夫!?」 駆け寄ってくる彼女の姿は、狐そのもの。黒かった瞳も今は美しい金色になっていた。 彼ら半妖はその証として、覚醒した時に身に流れる妖怪に似た姿になる。 そして、体の一部が徒人と違う色に変わってしまう。恢の場合は髪の色。そして眞智の場合は瞳の色らしい。 夕鶴達霊力者もたまに瞳や髪色が違う人はいる。だから見分けるのは難しいのだが。 「眞智、なんで覚醒したの」 「え?」 問い掛けるというより、詰問している自分の口調に彼女は戸惑ったようだ。 笑ってよかったねなんて、言うと思ったのか。こちら側に来てほしくなかったのに。 「私、貴方を守りたくて」 何が原因で眞智がそんな事を考えるようになったのかは分からない。が、ただ迷惑なだけだ。 覚醒をしても力の使い方を知らない者は邪魔になる。しかし、それを彼女には言えなかった。 きっと眞智はよく考えなかっただけ。自分の為に覚醒してくれたのだから。 「馬鹿ね。まぁ、とりあえずおめでとう。そしてようこそ、非日常の世界へ。歓迎はしないけどね」 流れる血に視線を向けて、その傷口に掌を押し当てる。みるみる掌が真っ赤に染まるが、気にしない。 「〈癒せ〉」 暖かい光が脇腹にある傷口を覆い、掌を離した時には血が止まっていた。 「凄い」 「眞智、先輩と叉玖を助けないと」 見ると少し苦戦しているようだった。流石に触手の量が多すぎる。 眞智の翳した手から大量の青白い炎が出現して、恢に襲い掛かる触手を焼き払った。 「〈消せ〉」 霊力が溢れ出し、触手を綺麗に消す。いきなりの反撃に付喪神が少し怯んだ隙に、恢が鏡の目の前に現れる。 「さっさと死ねよ、成れの果てが!」 怒号と共に突き出された風の刃を纏った拳が、少し入ったひびに直撃した。
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