149人が本棚に入れています
本棚に追加
昨日あの付喪神を倒した三人は、次の日の放課後に光輝に呼ばれて生徒会室に来ていた。
光輝は生徒会長用の椅子に座りながら、相変わらず爽やかな笑みをこちらに向けている。
「ありがとう、付喪神とかいうのを祓ってくれて」
そう言われても、当然の事をしたまでだ。夕鶴は欠伸をしながらそちらを見る。
「何の用ですか?私、寝たいんですけど」
自分は昨日、力を使いまくってしまった。それに今は脇腹の怪我もあるのだ。早く休みたい。
「まぁ、お礼が言いたかっただけなんだよね。鴉島井とその女の子には」
「眞智です。来巳(くるみ)眞智」
今更ながら名前を言っていなかった事を思い出したのか、眞智が言う。
光輝はそちらに視線を向けるが、その表情はあまり興味がないように見えた。
「そう、じゃあ来巳さんと鴉島井にはもう用がないんだよ。あるのは夕鶴ちゃん」
ふ、と夕鶴は目を細める。あれだけ嫌だと態度で示しているのに、諦めていないのか。
彼は立ち上がると自分の側に歩いていく。それを見た恢が目を細めた。
「夕鶴ちゃん。俺は本気で君が好きだよ」
真面目な表情、真剣な声。いつもと違う態度で告白されて、頬に熱が集まる。
「え、あの……」
「でも、やっぱり君は俺の元に来てくれないって事は知ってるんだ」
夕鶴の言葉を遮るようにして、光輝が話し出す。真っ直ぐ見てくる彼に少し戸惑った。
「でも諦めない。だから覚悟してね」
にっこり笑ったと思ったら、急に夕鶴を引き寄せる。いきなりの事で動けない自分に、光輝はキスをした。
何が起こったのか分からない。ただ、目の前に目を閉じた彼の顔があるだけ。
「……やっ!」
何が起こったのか理解した瞬間、光輝を突き飛ばす。ついでに頬をも引っ叩いた。
最初のコメントを投稿しよう!