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学校の授業というのは、本当に呆れるくらいつまらない。 黒板に何かを書いて、そして生徒を指名して答えを書かせるだけ。 夕鶴にとって、単調な授業は眠気を誘うだけのものでしかなかった。 「夕鶴、起きて!」 ゆさゆさと揺すられて目を覚ますと、時間はもう十二時半。昼休みになっていた。 そしてそんな自分の目の前には、呆れたように腕を組む眞智の姿が。 「おはよう、眞智」 「おはようじゃないわよ。貴方、四時間ぶっ続けで寝てたのよ」 まだ眠くて欠伸をしてしまう。前にいる眞智は再び呆れたようにため息をついた。 しかし自分に何を言っても無駄だという事を知っているから、何も言ってこない。 『キィ』 不意に、叉玖が彼女を見上げて威嚇の声を上げた。何も感じていない眞智にだ。 そこには微妙な違和感があった。彼は自分に害がある人にしか威嚇はしないはず。 なのに何故、この子は彼女に威嚇なんてしているのだろうか。 「夕鶴、食べないの?」 「え?あぁ、食べる食べる」 慌ててお弁当を食べ出す。その瞬間、今まで感じていた違和感は綺麗に消えた。 あぁ、気のせいか。ずっと一緒にいる眞智を叉玖が威嚇するなんて有り得ない。 だから気のせいだろう。ほっと胸を撫で下ろして、食事に意識を逸らす。 二人で下らない話をして時間を潰した。いつもはこれで昼休みを過ごしているのだが。 いつにも増して教室内には霊が多い。それらがこちらを見てくるから、居心地の悪さは異常だ。
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