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ふと、その視線が携帯からこちらに向く。いきなりの事に、意味はないが背筋を伸ばす。 「明日予定ある?」 「……ないけど」 「そう、じゃあよかった」 夕鶴はそう言うと、再び携帯へと視線を落とした。そして何回か操作をした後、それを自分の耳に当てる。 「あ、眞智?明日の件なんだけど、もう一人大丈夫?うん、そう。分かったわ、ありがとう」 何が何だか分からない自分をおいて、勝手に話が進んだようだ。携帯を閉じた後、夕鶴はこちらを見て悪戯っ子のように微笑む。 「という訳だから、明日は一緒に出掛けましょう」 「え、ちょ、待って!俺その眞智さんや恢さんは知らないんだけど」 なのに、何故彼女達が出かけるからってそれに着いていかなくてはならないのだろう。 知らない人の側にいるのは嫌いだった。どうせまた、この瞳について何か言われるのだから。 「心配しないで、皆同じだから」 「え?」 猛の思いを分かっているというように笑う。そんな彼女の言葉に首を傾げた。同じとはどういう事だ。 「皆同じ。先輩も眞智も半妖だから」 半妖と言われても、知識がない自分には分からない。それに気付いた彼女はため息を付くと、丁寧に教えてくれた。 「早い話が、妖怪の血が流れた人間と?」 「そう。見分け方は簡単。覚醒した場合はどこかがおかしくなる。例えば髪の色や目の色がね」 「なら、俺や姫崎さんは?」 猛も夕鶴も瞳の色は普通と違う。深い青の瞳をした自分と、美しい桃色の瞳をした彼女。 しかし自分達は半妖ではないという事くらい、知識がなくても分かる。なら何故、人と違う部分があるのか。 「霊力者にも一応そういうのはあるわ。もっと分かりやすい見分け方は、半妖達が力を使う時を見れば分かる」 首を傾げたまま一応頷く。自分の回りには半妖なんて居ないから、分からないままになるかもしれないが。 夕鶴は満足そうに笑うと、完全に食べられなくなった蕎麦を見て眉を寄せていた。
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