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二人一緒に部屋を出る。今日は言魂を使わずに、鍵で玄関を閉めた。あまり猛の前で力を使いたくない。 「どこに行くのー?」 夕鶴と手を繋ぎながら歩く叉玖。今は人の姿で徒人にも見える為、頭は帽子に尻尾は窮屈だが服の中に入れてある。 服装は相変わらずあの古風なものだが、それは仕方ない。子供用の服を持っていなかった。 「んー、着いてからの楽しみよ」 「たけるは?知ってるー?」 「俺も知らない。ごめんな、叉玖」 「えぇー!」 拗ねたように口を尖らせる叉玖を必死で宥める猛。そんな二人を見ていると、自然と笑顔になれた。 「こうしてると姉弟みたいね」 回りから見てもそう見えるだろう。自分は猛より年上で、叉玖はこの中では一番小さいのだから。 何故か彼はうなだれていたが、横にいた叉玖はとても嬉しそうだ。満面の笑みで夕鶴と猛の手を握る。 「きょうだいー!!」 「ふふ、そうね」 嬉しそうに笑う小さな子供を見て、猛に視線を向けて。この穏やかな時間が自分は気に入っていた。 彼が側にいると落ち着くのは、やはり幼い時に一度だけ会っているからだろうか。 こんなにも穏やかな気持ちにしてくれるこの少年が、神隠しに狙われているなんて考えられない。 しかしそれは事実だと、自分も分かる。だからせめて、彼が傷付けないように気を配る必要があった。 「……夕鶴ー!」 「眞智」 向こうから手を振って走ってくる茶髪の少女は明らかに眞智だ。彼女の姿を間違えるはずがない。 そんな彼女の背後には二人の青年がいる。恢の姿があるのは分かるが、何故ここに光輝がいるのか。 。 「眞智、なんで……」 「誰その人!?」 問い掛けようとした夕鶴の言葉を無視して、眞智が猛を指差している。指差された彼は苦笑する。
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