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血を拭いながらも鋭い眼差しで女の子を睨む。それを見ながら、女の子は笑う。 『あはは。ねぇ、そこの男の子を頂戴?』 小さな手が向いた先には、予想通り猛が居た。夕鶴の目が細くなる。この目の前にいる神隠しが自分を傷付けた理由は脅し。 猛を守る事から手を引けと。そうしなければ、今度はその怪我では済まさないという事だ。 「馬鹿にしないで。あんたみたいな雑魚相手にビビる訳ないわ」 神隠しの笑顔が消える。無表情になったそれは、相変わらず真っすぐ猛を見ていた。 『その子が欲しいの。それとも貴方達が遊んでくれる?』 「……あ」 何かに気付いたような声。彼に視線を向けると、青い顔をしている。何を思い出したのか、しきりに神隠しに視線を送っている。 「何か知ってるの?」 「俺、その子と遊んだ事ある。神隠しの森で」 猛が言う話によると、隠されたものを探している時に彼女に会ったらしい。 隠した場所を教えるかわりに遊んで欲しいと言われた。それを快く受け入れ、あろう事か神隠しと遊んだという事だ。 「……馬鹿かお前」 「まさか、神隠しと遊ぶなんて」 恢と眞智の呆れた声。夕鶴に至っては、何も言えなくなった。 神隠しと遊ぶなんて、ただの馬鹿だ。神隠しに限らず、霊と遊んでいい事なんて何もないのに。 「……猛」 ため息をついた夕鶴。自分の瞳には、呆れの色がはっきりと浮かんでいるはずだ。 知識がないから仕方ない。そう言ってしまえば終わりかもしれないが、今回はそんな簡単な事ではない。 知識は自分達が与えてやればいいので、まずはこの神隠しを何とかする事から始めよう。
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