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恢とジェットコースター乗り場にまで戻る。夕鶴の手には、まだ買ってもらった飲み物がある。 彼らが降りてくるのを待ってから再び歩き出す。向かう場所は分からない。何か乗りたいものがあるまでさ迷う。 「なんかないー?」 「ない」 眞智の言葉に返事を返して、夕鶴は欠伸をする。乗りたいものがないと遊園地は暇だ。夕鶴は絶叫が無理なので尚更。 「絶叫が無理なら、あれはどうだ?」 恢が指差す先にはきらきらと光り輝いた馬やカボチャの馬車が。小さな子供が好んで乗る、メリーゴーランドだった。 「……馬鹿にしてます?」 「冗談だよ」 押し殺したような笑い方をする。今日は見た事がない彼ばかりが見れるような気がした。 猛と叉玖は手を繋いだまま回りを見回していた。見る物全てが珍しいというような表情。 「叉玖、何乗りたい?」 「あれ、あれがいいー」 叉玖の指差す先には、明らかにどんよりとした館がある。再び夕鶴の顔が引き攣った。 「なんで貴方はそう、絶叫ばかりなの?」 本物ばかりを見ているからお化けは全く怖くないのだが。お化け屋敷となると話は別。 人が演じているものなんて、下手をすれば本物なんかより怖いに決まっている。 「入りたいー!夕鶴、入ろ?」 「叉玖、私は遠慮するわ。眞智と行っておいで」 宥めようとしてみるのだが、叉玖は折れない。みるみる不機嫌そうな表情を浮かべてこちらを見ていた。 「夕鶴、ここに来てから遊んでくれないー。嫌いになったのー?」 いつの間にか涙目になってしまっている。誤解されてしまった自分は流石に困り果てた。
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