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くるくるくるくる。
時計の針は巡り続ける。
どれだけ拒んでも時は動くし、どれだけあがこうと未来は変わらない。
歯車は動きだす。裏切りへのカウントダウンは始まった。
――――――――――――――
夕鶴と叉玖が手を繋いで家に帰る。その後ろには眠そうな猛が着いてきていた。
「ほら、はやく歩いて!」
「姫崎さん、俺眠いー」
駄目だ。猛は完全に眠気に負けてしまっているらしい。瞼が半分以上下がっている。
苦笑を浮かべた夕鶴は、誰かとすれ違う。その独特の雰囲気に違和感を感じて、一瞬だけ立ち止まった。
だがそれはすぐに消える。先程のは自分の気のせいだったのかと首を傾げながら、再び歩き出す。
「……見付けた」
すれ違った青年は、澄んだ黒い瞳でそんな夕鶴の背をずっと見つめていた。
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