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眞智は実際にその容姿のせいで気味悪がられたり、避けられた事がある訳ではないはず。
しかし半妖の性質なのか、寂しいと思う気持ちは人一倍強い。彼女は前より一人を嫌うようになった。
「私こそごめんね、眞智。ちょっとびっくりしただけよ」
夕鶴の言葉に安堵した顔をする眞智は、覚醒する前から何かが確実に変わっていて。
性格面で変わるのはまだ分かるが、やはり一番は外見だろう。人ならざる者の証である、金色の瞳。
綺麗な瞳の色だとは思うのだが、回りからは気味悪がられているのを自分は知っている。
眞智と夕鶴。共に瞳の色が人とは違う、人ならざる者。いつかはばれるのではないかと、それが一番心配だった。
思い出すのは昔の事。中学の時に避けられた事、いじめに近い扱い。再びあれをされたら、冷静でいられる自信はない。
幼かったという事を抜きにしても、あんな辛い事はもう沢山だった。だから、もしもう一度そんな事が起これば……。
「呪うのかしら」
呟いた言葉は聞こえていないだろう。しかし不穏な言魂には気付いたようだ。
眞智と聖が同時にこちらを振り向いた事に気が付いて、夕鶴は笑ってそれをごまかした。
自分は言魂使いという事を忘れていた。言葉が聞こえなかったとしても、宿る雰囲気で気付かれる。
負の言葉にはそれだけで負が宿るので使用を控えようと考えながら、空を見上げた。
自分の暗い心とは正反対の、明るくて雲一つない空。見上げた自分が悲しくなるくらい、今日は綺麗な空だった。
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