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浮遊霊に、恢が来たら学校に来いと伝えて欲しいと頼む。それが頷いたのを確認すると、二回叉玖の頭を叩く。 それが合図のように、叉玖の体がまた巨大になる。今ではもう、自分は彼の足にも満たない。 本来、オサキ狐はそこまで巨大にならないが、叉玖は特別。オサキ狐でありオサキ狐ではない彼は、夕鶴の力で好きなように変化出来る。 「行くわよ、叉玖」 答えるように再び咆哮する。徒人には聞こえない、恐ろしい妖怪の声が響いた。 そしてそれに被せられる、二匹の龍の咆哮。あれには聞き覚えがある。あれは、前に聞いた事のある声だ。 「何があるっていうのよ」 咆哮が聞こえた場所は学校。何が待っていて、誰がこんな事をするのか。分からないが、学校に着いたら全て分かる。 あの黒い獣の言った言葉。連絡の取れない眞智。帰ってこない猛に、何故か最近よそよそしい恢の態度。 それらの答えが、学校に隠されているのなら、そこにいけばいい。自分はそれらの答えが知りたいのだから。 「……待ってなさい」 学校には確実に、こんなややこしい事を起こした人物が自分を待ち構えている。 何があっても大丈夫。自分には、叉玖がついている。彼の毛に顔を埋めて、見えてきた学校を睨み付けた。
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