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目を覚ますと、日はとっくに暮れていた。真っ暗な部屋で一人。零れる涙を拭いもしないまま。
「……あぁ、そうか」
そうだったのか。自分の血がずっと、夕鶴を守りたいと叫んでいた理由が分かった。
自分の先祖は愛していたのだ。彼女の先祖である、底無しの霊力者を。
美しい人だった。笑った顔が少しだけ、夕鶴に似ていたような気がする。
「華宮(はなみや)」
確か、そう紅灯が呼んでいた。確かに、彼が考えていたように響きはとても綺麗な名前だ。
しかし、何故あんな夢を見たのか自分には分からない。今まで一度も見た事がなかった。
「……ん?」
水を飲もうと立ち上がった恢は、違和感を感じて回りを見る。寝る前と、どこか変わってしまったような。
そこで気付いたのは、天井にいる浮遊霊。確実に寝る前はいなかった。そこにいるのは、夕鶴の浮遊霊だから。
「なにしにきた?」
あれが来ると、ろくな事はない。今回も的中したらしく、いきなり部屋に他の浮遊霊が飛び込んで来た。
ついでに飛び込んできたのは、いつも彼女の側にいるのとは違うやつ。いつものは、今だに天井辺りにいた。
「結局、なにしに来たんだよ」
恢が呟いているのに気付いているのかいないのか。浮遊霊同士で何か会話しているらしい。
と思ったら、いつもの浮遊霊が慌ててこちらに来た。身振り手ぶりで説明しようとするが、分かる訳がない。
夕鶴も分からないのに自分が分かったら驚きだ。というか、この浮遊霊は話せるはず。
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