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襲い掛かってくる叉玖を見て、眞智の影は笑って腕を横に振った。
凄まじい音と共に小さな体が吹き飛ばされ、二回ほど床を跳ねて動かなくなる。
「叉玖!」
夕鶴が叫ぶ。倒れた叉玖の体から、みるみる内に血が溢れ出す。
「叉玖、しっかりして!」
慌てて駆け寄って優しく叉玖の小さな体を抱えあげる。
『……キ』
弱々しい声。それでも、大丈夫だと自分に言おうとしているのだ。
自分が気付かなかったから、彼が傷付いてしまった。もっとしっかりしていれば。
「ごめん、ごめんね」
叉玖をそっと床に寝かせて、自分は眞智を睨み付ける。
彼女が悲しそうに笑う。そんな眞智と違い、影は狂喜の笑みだ。
「あら、やる気?」
『ここで喰らう事にするか?』
目の前にいた眞智の体がみるみる内に姿を変え、鬼になった。
自分は一瞬だけ眉をしかめたがそれだけ。懐から符を取り出す。
「……貴方達には負けない」
一瞬で間合いを詰めてきた彼女の爪から逃れ、符を投げ付ける。
「〈爆破せよ〉」
言魂を受けた符が眞智の目の前で爆発する。それに怯んだ彼女の横を通り抜けようとした時。
「遊びは終わり」
腕を掴まれる。息を呑む自分はを引き寄せられて腹部を殴られる。
「あ……」
しまったと思う間もなく。鬼と化した彼女の力は有り得ないほど強かった。
『よくやった!早く喰え、眞智!!』
「まだ駄目よ。……ごめん、夕鶴。許して」
最後に聞いたものは、泣きそうな顔で謝る眞智の声だった。
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